NAB就業教育研究所

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所長'sファインダー

「飯を食える大人」を育て、支えることに拘る、
赤坂にあるNAB就業教育研究所所長、佐々木直人のあれこれブログ。

プロフィール

佐々木直人

1973年生。
1998年三菱商事株式会社入社。ベンチャー企業の起ち上げから中央官庁まで、国・業界を問わず様々な新規事業を担当。中途採用のスキームを提案し面接官として合否判定や育成施策の企画にも携わる。 情報戦略統括部、経営企画部を経て独立し、2011年NAB就業教育研究所を設立。 学生や若手社会人のスキル向上、キャリア形成に正面から向き合い続けている。

内定式が終わったからこそ、これからやるべきこと。

カテゴリー:これからの働き方



17卒のみんな、いよいよ、待ちに待った日が来ましたね。

 

いつもと違う空間、いつもと違うにおい、いつもと違う明るさ、いつもと違う音。

高まる緊張感と嫌でも感じる重圧に、足取りも軽やかとはいかなかったかもしれません。

 

でもね。覚えてといて下さいね、そのすべてを。

 

数年経つと恐らく、一番ホッとする空間の一つになっているはずですから。「あ~、疲れた、やっと戻った!」って思わず笑顔が出るような。

 

夏休みを経て学生生活の残りも半年を切りました。ここからは加速度的に時間が過ぎることでしょう。そこで、内定式恒例!残りの学生生活でやるべきことを挙げときます。

 

 

1.自分の就活プロセスを見直し総括する

もう結果出たし、自分がシステム手帳にまとめた内容ぐらいは記念に取っておくのでしょうけど、基本的にやりっぱなしになりますよね。

 

でもね、もう一度今の目線で去年の9月頃から何をしてきたのか、どこでどんな壁にぶつかったのか、それをどう乗り越えようとして成功・失敗したのか、なぜそんな行動をとったのか、成長した今の目線でもう一度見直してみて下さい。

 

実際、失敗案件を精査し見直し、次に向けた手を打てる組織って強いです。

 

何でわざわざ就活で?もう忘れたいのに…って?

 

それはあなたが今までの人生で一二を争うほど真剣に、そして追い詰められながらやったプロジェクトだからです。間違いなく、あなたの思考の癖、コンディションが悪い時の行動特性、苦手なものへの回避傾向などなどがあからさまに表れたはずです。

 

大切なのは、今のあなただったらこうした危機をどう回避するだろうか、と具体的に考えること。それが具体的にイメージできれば、仕事で似たような状況に追い込まれても、今度はうまく切り抜けられるでしょう。

 

2.キャリア仮説を最新版に書き替える

これだって、“就活用”に着飾ったままじゃもったいない。

 

例え飾ることなくしっかり描いていたとしても、様々な社会人と出会い刺激を受けてたどり着いた“今”となっては、当時考えていた“現状”よりはるかに進化しているはず。

 

進化した以上、新たに“現状”を定義し直す必要があるし、目的に向かう手段も当時よりもっと多様な、たくさんの方法を見つけ出せているかもしれない。

 

見直して再設計。PDCAを今から回すようになれば、年に1度は見直す習慣ができるはず。そうすれば、3年後、5年後の伸び具合はただ与えらえた仕事をするのと比べ雲泥の差がつくでしょう。

 

 

3. 本を読む。目的ごとに違う読み方で。

卒業するまで目いっぱい遊べとか学生らしいことをしろとか、大人はいろんなアドバイスをしてくれると思いますが。やっぱり突き詰めて考えるとこれが一番合理的。

 

仕事をしていて日々思うのは、純粋に本を楽しめる時間ってあんまりないですね。ホントに。それに、仕事を始めると書類、メール、通知、メッセ、業界紙、データベース等々とにかく大量の情報にさらされることになる。

 

当然、早く読める方が処理スピードは上がるし、雑用や事務作業を短時間で片づけることに繋がるから、クリエイティブな仕事に費やせる時間を作ることができる。意識的にこうした時間を取って積み重ねていく人とそうじゃない人との差は、3年も経てばひっくり返せないところまで開いてしまうかも。

 

だからといって、ビジネス書やら自己啓発書を何冊なぞったところで、あんまり効果は望めないでしょう。目的を定めるのは大切で、例えば新しい分野に関する知見を得ようと思ったら、その一番簡単な入門書をまず10冊読んでみる。様々な角度から同じテーマを見つめると、意外な発見に恵まれるし、テーマそのものの全体像が立体的になり、自分の言葉で説明できるようになる。そう、自分の切り口で捉え自分の考えたことを自分の言葉で語るのが大切。

 

ボキャブラリーが少ないことが悩みだったり、人に気持ちを伝えるのが苦手なら、まずは自分の心にグッとくる言葉や表現と出会うことから。小説から入ってみる。

本を読むのは全然苦ではありません、という人には古典をお勧めします。岩波文庫の青いやつとか。

 

読書の効果はキリがありません。エッジの効いた表現を味わい、言語感覚を磨ける。毎年のように大量の書籍が出る中で書店に並び続けているということは、それだけ多くのライバルを蹴散らして残り続けられるだけの高い品質を誇っているということ。心に刺さる素晴らしい言い回し、これしかないという研ぎ澄まされた言葉をぜひ味わってください。

 

20世紀初頭から今に至るまで読み継がれている古典の数々は、まだ社会問題を分類して対処する学問的な足場も発展途上の段階。様々な社会問題をどのように捉え解決できるのか当時の識者が試行錯誤し悩み抜いた様が表れています。当時の第一級レベルの思考プロセスやものの見方に触れるだけでも、視野が大きく広がるでしょう。

 

読書は決して一人で過ごす時間ではありません。著者の生きざま、思索のプロセスに正面から向き合える豊かな時間です。SNSやメッセンジャーが場所と時間を越えて人と向き合うツールなら、読書は時代を超えて他者の生きざまに向き合える素晴らしい時間です。

 

やりたいこと、やるべきことを総取りして、来年4月には素晴らしい第一歩を踏み出してくれたらと思います。