大学生のうちにやるべきこと その2
カテゴリー:これからの働き方
18世紀の社会科学系書物を薦めたのには理由があります。
それらは当時、社会に転がる様々な問題を発見し、どうやったら解決できるか大いに悩んだ先人たちが残した「思考プロセス」そのものだからです。
まだ、学問の体系や専門分野なるものが現代のように細分化されておらず、世間では「そういうものだからしょうがない」と思われていたような出来事を丁寧に取り上げ、どうやったら解決するのかを試行錯誤したプロセスそのものです。どうしたらこの世の中をより良くできるのか、仮説検証を繰り返すさまを追体験できるんです。毎年新しい本が大量に出るにもかかわらず、重版され読み継がれているということは、問題の本質をついていて、今の時代でも学べることがたくさん詰まっているってことです。毎年出てくる駄作を蹴散らし、本棚の一角に君臨し続ける、本当の強さと価値を持ってる証拠です。
独特の着眼点や問題の全体像の捉え方、解決に向けた具体的なアプローチや思い悩む様。そのすべてが非常に人間臭く、また社会問題に対峙する姿勢一つとっても学ぶところが非常に大きいと思います。大学に入ってからビジネス本や自己啓発本に手を出していた諸君は、そうした書籍がこれらの原書を薄めたコピーのようなものでしかないことに、気づかれたのではないでしょうか?世界の有名大学の授業やらプレゼン番組とは全く違う、普遍的な人としての悩みに真摯に向き合ってきた姿が、そこにはあります。
読む際には、受験勉強の感覚は捨て去りましょう。ケインズの「一部のエリートが円卓を囲んでものを決めた方が、世の中上手くまわる」という主張を字面だけ読んで、要するにエリート主義、差別主義者だと矮小化してしまっては全く意味がありません。なぜ、その方がうまく回ると彼が考えたのか。どんな時代背景があり、その地域はどんな状況にあり、どんな価値観が支配的で何が問題だったのか、そして何を目指そうとしたのか。何を見抜いてしまったのか。こうやって構造を明らかにして初めて、自分にとっても再利用できる叡智となるのですから。
なぜ、そこまで「社会」について学ぶことに拘るのか。その理由はまた次回にしましょう。(つづく)