志望動機を豊かにするには
カテゴリー:就活
採用広報解禁から2ヶ月。今年も採用支援のワークや講演が忙しい時期になりました。
Nゼミ生のサポートと帯講座を担当する大学の教え子にばかり触れているので、実際の採用に携わると就活生の“リアルな今”に触れることができます。
今年は、個社の説明会になっても参加学生があまりに当該企業のことを知らない、HPやパンフレットで与えられた以上のことを自分たちで調べ、自分自身のキャリアと照らし合わせて考えようとしていない傾向が一段と高いように見受けられます。業務を理解するために行うワークや先輩社員と触れ合う機会もゲーム感覚で臨んでいるようで、その場で僕らの目に留まる派手なパフォーマンスをすれば認められ、選考を上がっていけるんだろうと決めつけて振る舞う学生が目立ちました。
でも、僕や人事の方々が実際に見ていたのは、業務に求められる素養を自然と発揮できる学生はいないか、目立たなくてもチームの成果を最大化するために労を惜しまない行動を自然と採れる学生はいないか、といった観点でした。1、2時間ならそれも装えてしまうでしょうから、数日かけることもあります。それも、毎日毎日考えて行動しきることを求められれば、どうしたって素の部分が出ちゃいますし。初めは意気揚々とチームを仕切っていた学生が、やがてその思考の粗さや持続力のなさ、コミュニケーションの雑さから周りの求心力を失い、終盤では自分のチーム内で発言すらしなくなるといった風景にも出くわします。
とあるプログラムを終えて片づけをしていた際に、ある学生が声を掛けてくれました。
日経カレッジカフェ・アカデミーで、昨秋僕のクラスに在籍していたひとりです。
「アカデミーで教わった後、自分なりに将来やりたいことの仮説を考え、色んな企業にぶつけていくうちに、あれも違う、これも違うと潰している最中にこの会社と出会いました。仕事は大変そうですが、自分の性格や行動もこの仕事に向いている手応えを感じました。参加してみてよかったです!」
晴れ晴れとした笑顔から、“自分で進路を選んだ”という実感が伴っていました。
志望動機はあくまでも、あなたのキャリア仮説が実現するために必要な素養のうち、いくつがその組織で叶いそうなのかを、短期・中長期に分けて考えて検証するものです。
だから一人一人で切り口が違いますし、他人の真似をしても実感が伝わらないことは人事もすぐに見抜きます。
現在の事業概況や企業理念だけでなく、ビジネスモデルの優位性や将来性。そこで経験できることが自分の糧となるのか、時期や場所、組織の価値感に自分は溶け込んでいけそうなのか。短期・中長期的にどういった事業展開がどんなエリアで行われようとしていて、自分がどう携わっていけるとハッピーなのか、などなどなど。
これ、知識というより“自分の将来に対する想像力”、つまり実践的な頭の良さの一種です。