親と就活の話ができません その1
カテゴリー:これからの働き方
例年、9月後半からのべ2,000人ぐらいの学生とお会いします。キャリアの講義なので、就活生対象のスキルアップに的を絞った少人数講座から、1,2年生と一緒にキャリア形成についてじっくりと考える大人数のコマもあります。今年は、日経College Café Academyが加わったので、3,000人を超えて来るでしょうか。
講義の後、毎年必ずと言っていいほど訊かれる質問があります。ソロソロっとちょっと言いづらそうに僕のところへやってきて、「あのー、親と就活の話が合わなくて、困ってます。」
「大企業に行けば、成功は約束されたようなものだから」
「安定していて食いっぱぐれないから、公務員になれ」
「何だ、大学行ったんだから、就職なんてすんなり決まるだろ」
親御さんが言いたいことも、わからなくはないですけどね。
とはいえ、放っておくわけにはいきません。はじまる前はともかくいよいよ就活の終盤になると、せっかく勝ち得た内定先があって本人も乗り気なのに、親が頑なに認めない、なんてケースが出てきます。ただでさえ慣れない就活に疲弊しているのに、憔悴しきった顔で相談に来るのは何とも気の毒。
むしろ考えなければならないのは、なぜ皆さんと親御さんとでは、キャリアに関して感覚的にズレが生じてしまうのか、と言うことだと思います。そこから見えてくるものは、いったい何でしょう?
最近、大学で父母の皆さんを対象に僕が講義を行うことが増えました。ひとつは、就活そのものが複雑化してしまい、何が起きているかわからない、という親御さんの心配を解消するため。もう一つは、“キャリア形成”って何なのかを知って頂いて、皆さんと「話が合わない状況」を打破して頂き、効果的なサポートをして頂くためです。
たいてい、お母さん方は熱心に耳を傾けノートを取られているのですが、大半のお父さん方は厳しい顔をして腕を組んでいるだけ。ご自身にしてみれば、これまで社会人としてきちんと勤め上げてきたのに、何でどこぞの若造についてキャリアなんて横文字の話を聴かねばならんのだ、という。
もう、ちょっとでも変な話をしたら潰してやると言わんばかり。攻撃態勢入りまくり。
ところが、講義終了後の質問にいらっしゃるときは大抵ご夫婦一緒で、「なるほど、子供の言ってることが理解できなかった謎が解けました」と言って頂くことが多いのです。
では、何が原因で親子で話がかみ合わなかったのか。ポイントは2つあります。
(つづく)