親と就活の話ができません その2
カテゴリー:これからの働き方
(つづき)
一つは、2005年を境にこの国で“キャリアを形成する前提”が決定的に変わってしまったこと。そしてもう一つは、市場類を見ないほどの経済成長を体験した結果、その成功体験があまりに強烈過ぎて、必勝法として定着してきてしまったこと、です。
2005年に何が起こったか。
そう、日本の人口が観測史上初めて「純減」を記録した年です。つまりこの年を境に、いよいよ日本の多くの市場は「基本的に縮小の一途」を辿ることになったわけです。まさに、数は力。
ところが、高度成長期の日本は、人口も仕事も所得も豊かさも、まさに「拡大することが大前提」で進んで来れてしまいました。
だから当時の常識として、適齢期になったら持ち家を買え(なぜなら、人口は増える一方なので、必ず将来より高く売れるはず)とか、仕事を一生懸命やってさえいれば、キャリアは会社が面倒見てくれる(仕事が増える一方なので自ずとポストも増え、年功&横並びで退職まで面倒見てくれるはず)といった必勝ノウハウが独り歩きをすることに。
この「拡大局面」が延々と続いていったので、もう誰も必勝ノウハウのWhyを問うなんてことは無く、ノウハウだけが「当たり前のこと」として定着して行った。
何をいまさら。時代が違うじゃないと笑われるかもしれませんが、じゃぁなんで、所謂“いい大学”目指して受験してきたんですか?「いい大学」から「大手企業」に入れば「一生安泰」なんて、まさに拡大局面の発想そのものですよ。
そもそも世界を見渡しても「安定した仕事」があるなんて幻想が一般的なのは日本ぐらいではないでしょうか。米国のギャロップ社という調査会社のリサーチでは、確かに「毎年安定的に、将来の目標に向けて少しずつ貯蓄ができる」と、幸福度が大きく上がることが分かっていますが、これは安定させることが如何に大変か、の裏返しです。
ですから皆さんは、ご自身のキャリア形成を考えるためにはまず、この世の中が今、どんな状況にあるのか。これから、どんな方向へ向かっていこうとしているのか。まずそれをきちんと捉える必要があります。
そのうえで、大人は(高度成長期の必勝ノウハウを、ついつい)皆さんのためになると思ってアドバイスしてくれるので、何でそんなアドバイスになっちゃうんだろう?それは当時どんな環境だったからだろう?裏返せば、それはこれからの時代に何をすべきってことなんだろう?
そう、「考える。考え続ける。」そうすることで、お互いが話をする前提が揃って、より深い話ができるようになる、と言うわけです。
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