19卒採用がお互い苦労することになりそうな理由 その2
カテゴリー:就活
2015年の秋と、今年の秋は就活生の佇まいが本当に良く似ています。
企業の方からあまり評価の芳しくなかった18卒も、確かにこの時期の論理思考力やコミュニケーションスキルはなかなか大変で、方々でプログラムの最中であってもテキストの見直しを敢行しました。
それでも、こちらが投げたボールをちゃんと危機感として受け止め、そこから素直に走りだす熱量や行動力はありました。
19卒は今のところ、行動に移れないでいる学生が多いように見受けられます。
ただし、彼らは今の今までボーっとし手たわけでも何でもなく、むしろ例年よりスタートを切るのは早かったようです。5、6月のキャリアイベントで講演した際に、参加人数の多さや積極さに驚いたくらいです。
どこで、勢いが止まったのか?どうも、夏のインターンのようです。
18卒の段階で、8割近い学生がインターン参加の経験があり、特に夏のインターンが選考に直結していると実しやかに先輩から聴き、「とにかく夏のインターンに参加する!」が19卒には支配的だったようです。講義の際に今に「参加しました!」と手を挙げる学生が半分を越えて当たり前、下手するとほぼ全員なんていうのは初めてです。企業の開催数も過去最高になったのでしょう。
さぞかし、いろんな体験や仮説検証できたんだろうと話を聴くと、大半の学生の表情が曇ります。
実は…と切りだされるのは概ねこんな内容です。
「インターンの目的がよく分からなかった」
「何をやっても褒められるばかりで、こんなもんでホントにいいのかな、と逆に不安になった」
「完全なお客様扱い。学生に媚びてた。半日もあれば十分だった」
不安のあまり、実際に、企業と学生がインターンの際にやりとりした日報や、プレゼンに対する評価シートなどを持ってくる学生もいました。
見てみましたが、まぁ、ヒドイ。
学生の書いた内容がそもそも報告の体を成していない。第三者に読ませることを想定された文書じゃない。これじゃ企業の方もコメントするの大変だったでしょう。
「良く頑張ってるね、良い気づきを得たね」
これ、悩んだ末に書いた精一杯の落としどころだったんじゃないですか。
目的不明のものは論外としても、“お客様扱い”にはほとんどの学生が嫌悪を示していました。
企業側からすれば、何か強く申し出てショックを受けてSNSにでも書かれたら大変、内定者でもないのにそんなリスクは犯せない、というのも分からなくはないです。
でも、「(本当は社会人としてはダメだけど)まぁ、頑張ってるよね」 とか
「(うちの新人だったら叱ってるところだけど)短い時間の割にうまくまとめたね」とか言われると、あ、この会社は真剣に自分たちの相手をする気がないんだ…って学生は引いていきます。笑顔で。
おかげで、夏のインターンが終わった後、モヤモヤしっぱなしの学生が結構いるわけです。このままじゃいけないんだろうな、もっと成長しなきゃって思いと、でも、夏のインターンで企業の人はこのくらいでいいよって褒めてくれたしな、ってすがりたい思い…この堂々巡り。
悶々としたまんま、動けなくなっている今日この頃、といったところでしょうか。
18卒の内定者にインタビューを取る中で、最近特に強く感じたのが“コミュニケーションの質”の大切さです。
どこの企業でも欲しがるような優秀な学生たちほど、売り手市場なんて気にもせず、企業側がどんなメッセージを発し続けているのか、どうやって自分とコミュニケーションを取り続けようとしているのかを非常に良く見ています。そこに不誠実さや欺瞞を感じると、ためらいなく候補先から外しているのが印象的です。
一方で、このまま動けず準備不足のままで就活に突入する学生達も、本来なら伸びる機会と時間があればキラキラの原石であることが分かるはずですから、その機会に恵まれないなら、こちらも引きだす努力が必要となります。
学生はこっちで磨いておきますから、冬のインターン以降のコミュニケーション設計をしっかりやっていただいて、採用従事者の方々も腕を磨いておけば、双方に取って有意義な1年になると信じてます。