【事業投資先再建のプロが語る、本当の“経営”】
カテゴリー:就活
プログラムの最後には、実際に海外の事業投資先に経営者として乗り込み、どん底の状態から再建を果たしたプロフェッショナルにお話頂きました。
分刻みで仕事されているバリバリの部長さんを、社員でもない学生の前に出すのはやり過ぎては!?と思われるかもしれませんが、これこそ「目の前を通って行く学生は、わが社に縁があろうとなかろうと、少しでも社会人として伸びて行って欲しい」という研修担当者の熱意の賜物でした。
「いろんな経営者の本や成功事例本、あるでしょう?でもね、そのまま応用してうまくいくことはまず、ない。経営がうまくいく“成功の方程式”は無いんですよ。」
荒れ放題のオフィスや工場。勤怠状況はおろか、社員がどこで何をしているのかもよく分からない。まずは現状を把握しようとしても、経営層を見切ってしまっている現地社員があの手この手で妨害する。自分には極力近寄らないように組合が一丸となって手を打ってくる。誰とも会話ができない日々。
「関わる全ての人が不幸で、気の毒な状況だった。」
自分を追い返すために、ストライキの準備が周到に進んでいくのを肌で感じながら、たった一人、何ができるかを考え続けた。
「必要だったのは、綺麗な事業計画でも、かっこよくデザインされたパワーポイントでも、ロジカルなフレームワークでも無かった。まず、役員室から出ることだったんだ。」
「それまでの日本人トップは誰もやってこなかったから、みんなすごく驚いたらしい。それからひたすら、毎日最低2時間、ひとりひとりの声を聴くことにした。質問があればすべてその場で答えた。僕が何をしたいのか、何を目指すのかを丁寧に根気よく、分かるまで繰り返し説明した。300人の社員全員の話を聴くことから始めたんだ。」
毎日続けていると、少しずつ社員の態度が変わり始めた。周りを警戒しながらもこっそり寄ってきて、「僕はあなたを信じたい」と耳打ちして去っていく者が出始めた。そして…。
じっと聴き入る学生たち。
リアルなエピソードの数々と、事業が立ち直っていく様を約1時間。事業の永続性。そのために必要不可欠な血が通った経営。しっかりと心に響いたようでした。
ロールモデルとして皆が憧れる先輩社員がいる企業の強さ、改めて感じました。