NAB就業教育研究所

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所長'sファインダー

「飯を食える大人」を育て、支えることに拘る、
赤坂にあるNAB就業教育研究所所長、佐々木直人のあれこれブログ。

プロフィール

佐々木直人

1973年生。
1998年三菱商事株式会社入社。ベンチャー企業の起ち上げから中央官庁まで、国・業界を問わず様々な新規事業を担当。中途採用のスキームを提案し面接官として合否判定や育成施策の企画にも携わる。 情報戦略統括部、経営企画部を経て独立し、2011年NAB就業教育研究所を設立。 学生や若手社会人のスキル向上、キャリア形成に正面から向き合い続けている。

19卒採用がお互い苦労することになりそうな理由 その1

カテゴリー:就活



9月から大学や企業主催の講座など、様々なキャリアプログラムが走り始め、この2ヶ月で様々な大学生を相手に40本ほど講座を行いました。


僕らの主眼が“就活対策テクニック”ではなく、どうすれば気持ちよくイキイキと働ける“飯を食える大人”になれるのかを一緒にじっくりと考えるところから始まるので、最初は学生が結構戸惑います。


「ESの書き方教えてくれるんじゃないんですか?」
「面接って必勝法があるって聴いたんですけど?」
「就活のスケジュール教えてくれるんじゃないんですか?」


まず、“お受験的な発想で人より先に答えを見つければ何とか凌げる”という思考パターンを捨てさせるのは、毎年とはいえこちらも骨が折れます。 


ただ、19卒の出だしは意外とスムーズで、丁寧に説明すれば「なるほど!」とすんなり受け入れてくれているようにも見受けられますが…さて、最後まで続くかな?


面白いもので、大学や専攻でのカラーももちろんですが、年次によってのカラーの違いも結構あります。


彼らと話を重ねるうちにふと思ったのは、「19卒採用は、マッチングするうえで学生も企業も結構苦労するかもしれないな」ということです。


なぜか?


彼らの醸し出す空気に含まれるボンヤリ成分の高さ、この時期に質問してくる内容やその掘り下げ度合い、就活に向けた準備の取り組み状況や取り組み姿勢を観察していると、2015年に非常に似ている気がするんです。


そう、採用広報の解禁が12月から3月に変わった、あの年です。


当時を思い返すと、例年秋から冬にかけて行う大学のキャリアガイダンスへの集まりが非常に悪く、いくら大人がお尻をたたいても学生のスイッチが入りませんでした。そりゃそうです。3月にならないとスーツ着てウロウロする学生も増えないし、インターンを開催する企業だって今年の1/3以下でしたから。


ところが、実際に終了時期はほとんど例年と変わらなかったわけで、単純に準備にかけられる時間が3ヶ月減ったわけです。


もちろん、その間学業にじっくり取り組めるようにするといった狙いもあったのでしょうが、これで割を食ってしまったのは「就活の最中に、素敵な社会人との出会いによってドンドン伸びて、思いもよらぬキャリアにも気づくなどして納得いく進路を獲得していく学生」たちでした。


おそらくそれぞれの大学のボリュームゾーンである彼らが、大きく伸びる時間と機会を失ってしまった。


準備不足の学生が、なんとなく大人受けの良さそうな、企業が用意しているであろう模範解答(そんなものないんですけど)をESに書いて面接で確信が持てないまま語る。


採用する側からすれば、読んでも訊いても見事に判を押したように同じようなことしか聞けず、学生の違いが分からない。


噛み合わないコミュニケーション。溶けていく労力。時間だけは刻々と過ぎていく…。


そういえば、10月1日の内定式直前や当日になって辞退する学生が目立つようになったのも、この頃あたりでしょうか。


互いに決めきれない就活は、最後までモヤモヤしたままだった印象でした。(つづく)