NAB就業教育研究所

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所長'sファインダー

「飯を食える大人」を育て、支えることに拘る、
赤坂にあるNAB就業教育研究所所長、佐々木直人のあれこれブログ。

プロフィール

佐々木直人

1973年生。
1998年三菱商事株式会社入社。ベンチャー企業の起ち上げから中央官庁まで、国・業界を問わず様々な新規事業を担当。中途採用のスキームを提案し面接官として合否判定や育成施策の企画にも携わる。 情報戦略統括部、経営企画部を経て独立し、2011年NAB就業教育研究所を設立。 学生や若手社会人のスキル向上、キャリア形成に正面から向き合い続けている。

【Q&A】就活で勝ち組目指してたけど、馬鹿らしいなあって最近思う。

カテゴリー:学生Q&A



Q.就活生
「就活でモテたいし、勝ち組目指して五大商社とか大手メーカーとかを狙うのに必死になってたけど、なんか馬鹿らしいなあって最近思うようになった。資本主義について学ぶ機会があって、そもそも労働することは罪であることから資本主義が始まったことを知ってサラリーマンになる以上特権階級(役員以上)に搾取され続けるんだなあって思ってその小さな世界で必死になる自分が客観的に馬鹿らしくなった。いっそ全落ちして起業に追い込まれないかなあって思ってはいるけれど現実的な話、アイデアも気概もないのでしょうがなくやはり奴隷として生きなければならない自分が悲しい。ルールを作る側、搾取する側に回りたい、、、一部の人間に都合のいいように使われる自分になりたくない。。。」

  

A.
拠ってきたものが折れちゃった、という心の叫びだね。

僕がNゼミで最初にやるコマは「働くとは何か?」なんですよ。それはこうした間違った、そして不幸にしかなれない就労観を払拭してスタートしてあげたいからなんですが…しょうがないよね。ひたすら周囲に持ちあげられて、受験で周りを蹴落として、大学名で自分の方がエライんだって勘違いさせられて、ここまで育ってきたんだからさ。

素直といえば素直だし、幼いといえば幼いな。

まず、この考え方そのものが、“一部の人間が都合の良いように使う価値感”であることに早く気づいた方がいいですよ。

本気で払拭したかったら、学問をやるしかありません。単位を取って卒業要件を満たすだけのお勉強ではなく、自分の世界観や息苦しさをどうしたら解消できるのか、真摯に向き合うしかないでしょう。就活終わったらやってみて下さい。資本論、ちゃんと読んだ方がいいですよ。決して“資本家が労働者を搾取する”だけの物語じゃありません。社会契約説なんてまさにこれから働いていく人達全てにつきつけられた命題じゃないですか。

今の時点でも、これだけは覚えていてください。

人に上下を作ろう、誰かから搾取しよう、という発想の人は、結局延々と「そいつを嵌めてやろう」という関係者だけが集まってきて、延々ババ抜きし合っているように僕には見えます。もう、Jokerの押し付け合い。押し付けた事実そのものが気持ちいい、みたいな感じで、何も生みだしていないんですよね。ただひたすら「俺はお前より優秀」って言い放ちたがっている。

そういう不幸な貶しあいの連鎖に絡め取られている人達って案外少数派で、大半の人は足るを知って日々を充実させているように思います。実感値でしかありませんが。

また、僕は教育事業以外で30名ほどの従業員を抱える零細企業の経営者でもあります。

経営者として搾取してやろうとか、うちの従業員の皆さんを奴隷だなんて考えたこともないですよ。

民主主義の国なんですから。ルールを勝手に作ったところで誰も守ってくれないし、現場で稼いでくれている人達の判断と努力の積み重ねがあっての事業継続です。そもそも、人を見下すような経営者の元には、社員も長くはいてくれませんよ。逆にそれでも我慢して残り続ける人達は、他に移ることもできない程度ってことですから、むしろ恐怖でしょう。ポンコツだらけじゃいずれ会社が潰れるかも、という不安。

たまたま縁があって、うちみたいな零細企業を見つけて来てくれた人達がいてくれて、うちの現場で仕事に精を出してくれている。お互いに得意とすることで貢献しながら同じ方向を向いていく。
だからこそ、経営者は従業者の方々が働きやすい環境を作り続けようと真剣ですし、勝手気ままにやりたいようにはできません。単純な話、非合理的ですよね。

面白いですよ。日々、現場の皆さんから学ぶことって本当にたくさんありますし。

できれは、就活中にたくさんの「飯を食える大人」と出会って、希望をもって卒業していって欲しいなと思います。

今年も多くの教え子から配属決まりました!って連絡貰ってますが、本当によい環境でスタートが切れたってしみじみされちゃうと、こっちまで嬉しくなりますし、そういうマインドセットで第一歩を踏み出せると成長が加速しますから、結果的にやれることも増えていき、周りの信頼も得られて、あなたの言うルールを作る側の人に近づいていくように思います。